今回は夏の読書感想文ということで本の紹介をしていきたいと思います。
読んだのは「知っておくべき産後の妻のこと」という本です。
急にどうしたと、自分自身が一番そう思うのですが、真面目な感想文になりましたので何かの参考になればと思います。
きっかけは母に読めと言われたから。
なんでかと聞くと、「あんたはそうゆうの疎そうやから、読んどき」とのことで。
なぜ母が20代の自分にこの本を手渡したのか。
謎は深まるばかり。
どういうこと?と思いながら読みましたので、有益な何かを得れたのかも含めて書いていきます。
これで今年の夏の読書感想文は無事提出となります。
著者の東野純彦とは何者なのか
まず、本書の著者の東野(とうの)さんが一体何者なのかを調べていきます。
この方何歳なのかパッとでできませんでしたが、1983年に久留米大学医学部を卒業しているので、63歳なのかなと思います。
ネットでお写真を拝見させてもらいましたが、なかなかバリバリのおじ様で、エネルギッシュなお医者様という風貌です。
調べて行くとお父様は東野利夫さんで、なんかこの人すごそうっぽい。
ウィキペディアにしっかり経歴が記されており、界隈では名を馳せた人なのではないかと想像します。
どうも「九大生体解剖事件」第二次世界大戦中に軍や九大医学部が絡んで米国捕虜を生きたまま解剖したとかいうことがあったそうです。
証言のみで証拠はないようです。
お父様の利夫様はその目撃者として貴重な体験談を記したとかなんとか。すごい。
息子の純彦(あつひこ)さんはお父様が1958年に開業した「東野産婦人科」の後継で、現在院長を務められています。
お父様も会長という立場でおられましたが、今年2021年の4月13日に肺炎で亡くなりました。
肺炎というともしやとも思いましたが、多分違います。
亡くなる3日前まで高校生にその事件のことを語ったそうです。
脱線になりましたが、戦争のことを語れる人がどんどんいなくなっているんだと想いを馳せたところで、本題に戻ります。
産後クライシスって大げさじゃない?
そんな正統継承者の純彦さんによる本書は、産後クライシスという物騒なワードを持ち出し、今、令和の産後の夫婦や家族の実態を紹介してくれています。
クライシスなんて言ってと思いましたが、正に夫婦の危機、重大局面の話です。
僕の私見でいうとクライシスというと、もう崩れかかっていると言うか、ぼろぼろの状態を想像してしまいます。
本書ではGoogleでの「妻」と「夫」に続く上位検索ワードが、そのクライシス具合を表しているとして紹介されています。
妻→「夫 死んで欲しい」
夫→「妻 誕生日プレゼント」
恐ろしい。
誕生日なにあげようかなとか考えている場合ではないそうです。
東野産婦人科では「女性の一生に寄り添う。これまでも、これからもずっと。」をテーマに様々な年代の女性にトータルケアを行なっているそう。
子育てに取り組む夫婦にしっかり寄り添ってくれると定評があるそうです。
そんな女性の夫婦・家族の総合ケアを行うプロが言ってるんだから間違いない!
そう思わざるを得ない。
これは母が今から考えておけよ、結婚して子供ができたらどうするのか、人生の計画を今から立てておけと、そういうメッセージなのか。
なかなかのプレッシャーを感じました。
夫婦二人で乳幼児養育は無理
ということで考えました。
その結論は「夫婦二人で乳幼児養育は無理」
これは問題を放り投げた訳ではありませんが、二人だけで、共働きでなんて乳幼児養育はできない。やればどこかで歪みがでてくる、それが結論だと思います。
その理由は本書で紹介されている人類の子育ての歴史にあります。
従来、子育ては夫婦二人でしてきた訳ではない
一昔前の日本は、
「出産のときには産婆さんが駆けつけてくれて、親戚や近隣の女性たちが全力でサポートをする。
子どもを産んだ直後の女性は授乳に徹し、あとは心身ともに休み、家事も周りの女性が済ませてくれていたのです。」(P24より抜粋)
この様に昔は周りの多くの人に助けてもらえる環境、文化があったのです。
また産後の女性がホルモンバランスの変化によって不安な気持ちになるのは、誰かを頼るための作用とされ、遺伝子に組み込まれているとも言われているそうです。
そんなこと言ったって今は昔とは違うじゃないか、そう言いたくもなりました。
例えば仕事は残業続き、実家は遠いし、自分も妻も余裕がない。
そこに子供が産まれれば、産後クライシスは待った無し、本書に紹介される危機が現実になります。
しかし厳しい現実を突きつけるだけではなく、対策も具体的に示されていました。
さすが子育て夫婦から定評のある医院長の本です。
産後クライシスを防ぐ方法
全てではないですが、特に重要だと思ったやるべきことが以下になります。
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男性も産後2週間程度の育児休暇を取る
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お互いに感謝の言葉をかける
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少しでも二人だけの時間を持つ
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ストレスはこまめに発散する
一般的に産後2週間はマタニティーブルーズの期間なので、その時くらいは育休を取れというのです。
会社の雰囲気や仕事の都合もありますが、これはやってやれないことではないと思いました。
その他も環境を工夫すればできることかなというのが僕の意見です。
そうして女性に、
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家族の時間を努力して作ってくれる
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仕事、家事、子育てをよく労ってくれる
そう思ってもらえるようにしなさい、それが本書が指南してくれたことです。
また、どうやら乳幼児養育時の夫の主な役割は2点に集約される様です。
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母親の精神的健康を保つこと
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母親が心身ともにリラックスできる環境をつくること
これらが確実に叶うように注力し、行動することが大事なのかなと思いました。
問題を理解したら実際に行動しろと、そう東野先生が言っているのです。
自分なら具体的にどうするか
また僕なら具体的にどうするか、そのことも書いておこうと思います。
産後クライシスを防ぐ方法としてピックアップした4つの内、後半2つをより実行しやすくするには「子供が産まれる前にどちらかの実家の近くに引っ越す」のが合理的だと考えました。
実家をあてにするなんてと言われるかもしれませんが、何かあれば頼れる様にきちんと相談した上で近くに引っ越してしまうのはありなんじゃないかなと、そう思います。
少しでも二人の時間を持つというのも、お昼にちょっと映画を観に行くとなれば実家に預けられるならより現実的です。
ただしこの方法はできるできないがあると思います。
いろんな理由で頼れる親がいない、お互いの実家が遠いということも十分に考えられます。
あくまで自分ならこうしたら良いかもしれないなと考えてみました。
「共同養育」が成立しにくい現代へ向けたメッセージ
本書の最後にはこうもあります。
人類は「共同養育」という形で子育てを続けてきた。
ところが、その「共同養育」が成立しにくいのが現代社会だ。
「人間はそもそも一人で子育てをするようにはできていない」
本書を読めばそのことが痛烈に理解できるはずで、子育てを女性だけにさせてしまってはいけないという意識が芽生えるはずです。
実際僕も読了後はほんとにまずいことになりそうだ、今から考えておかないといけないなという意識になりました。
今まさに子育て・夫婦仲に悩んでいる人も、来たるべき日がまだ先の若者も、本書を読めば問題が明確になり行動や準備の手助けにきっとなります。
気になった方はぜひ手に取ってみることをおすすめします。
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